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見えない巨大水脈 地下水の科学

見えない巨大水脈 地下水の科学
使えばすぐには戻らない「意外な希少資源」
日本地下水学会/井田徹治 著
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東日本大震災の前に買って「積ん読く」状態でしたが、メルトスルーが取りざたされてから思い出して読みました。

・地下水は、化石燃料よりも貴重な資源ですから、やはり、持続可能な利用を訴えています。

・雨などの浸透から湧き水などの流出までが地下水の「寿命」ですが、地下水の世界の平均「寿命」は600年超で、3万年の地下水もあるそうです。本当に化石に匹敵します。

・さんじのぱぱは、高校2年生まで上尾市の団地に住んでいましたが、中学生頃までは水道の取水源は市営水道の100パーセント地下水でした。部活の後、冷たくておいしい水を水道からガブガブ飲んだことを思い出します。程なく、地盤沈下防止のため、県営の浄水場(川からの取水)に切り替わり、温度や味の違いを感じました。夏冷たく冬暖かいという井戸水の反対が川の水でした。地盤沈下の影響は団地にも顕著に表れ、1m以上「抜け上がり」状態で建物が地面から浮き上がってしまい(というより深い杭で沈まない建物に比べて地盤が下がり)、建物の入り口から、道路までの間に10段以上の階段を増設したほどです。
 従い、地下水については興味を持っていました。

・著者の最後の言葉を引用します。
 「これからは、当たり前のようにペットボトルの水や水道水を口にするときに少しだけ、地球上を循環する水のことや、足もとの地面の下をゆっくりと流れる地下水の姿にも思いをいたしていただきたい。地域の共有財産でもある地下水をきちんと保全し、持続的に利用していくための取り組みは、私たち一人一人が目に見えない地下水というものを意識し、理解しようとすることから始まるのである。」

・日本の河川の流速は数キロから数十キロ/日だが、流れている地下水は平均1m/日で数センチから数百メートルだそう。

・地下水の流れの可視化は、重力と水が受ける圧力を加えた「地下水ポテンシャル」の数値が同じ地点を地図上でプロットし、地上の等高線のように等圧線を描く。流れは等圧線を直交して高い方から低い方に描け、「流線網」というそうだ。福島第一原発一帯の「流線網」と流速が気になる。

・地盤沈下は汲みすぎて減った地下水が元あった部分が沈んで起こる現象だと、さんじのぱぱは思っていました。それならば、組上げを中止し、雨水などで地下水が元に量に戻れば(涵養されれば)、地盤沈下は直るはずですが、そうではない。本書によると、地盤沈下は、組み上げて減った地下水の部分だけでなく、地下水が減って地下水を蓄えていた「帯水層」の圧力が減った分、「帯水層」の上下にある粘土層に含まれていた水分が吸い出されるように[帯水層」に流れ込みこれも汲み上げられ、粘土層も収縮(圧密)される。
  地盤沈下量 = 粘土層の圧密 + 帯水層の収縮
 粘土層の圧密は元に戻らない。従い、地盤沈下は元に戻らないのだそうです。
 確かに、久々に上尾の団地に行ったときも、相変わらず、いやもう少し沈下していた。

・地下水汚染原因物質のうち、本書では有機塩素系溶剤と硝酸性窒素を取り上げていた。

・地下水は誰のものか。
  日本の民法では土地の所有権が地下におよび「私水説」と呼ばれる。関東平野の地下は一つの巨大なお盆のように地下水や天然ガスが溜まっている。このお盆に雨水などを染み込ませて涵養している周辺地域や、湧水・流出する地域を含め「地下水盆」と呼び、持続可能な地下水利用を目指す研究の端緒となったそうだ。これは共有財産「公水」の考え方。
  もっと大きくとらえ、地球上を巡る水循環の一部として地下水をとらえる「水循環」の考え方があるそうだ。「水循環」のなかでの地下水の役割は、土壌を通じた自然の浸透過程における浄化作用だと、1998年、環境庁の「環境保全上健全な水循環に関する基本認識及び施策の展開について」の冒頭に記されているとのこと。

・リンク
 あとがきに掲載されていました。
 <とりもどそうきれいな地下水委員会(とりきち委員会)
 <日本地下水学会
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ジャンル : 本・雑誌

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