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無責任の構造

独身時代の10年間に買った本を整理していて、
当時はあまりぴんと来なくて中断していた本が、
今、とても気になって、読み終わりました。

無責任の構造
 モラルハザードへの知的戦略  岡本浩一著
PHP新書141(2001年1月29日初版)

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10年前の本なので、紀伊國屋書店BookWebでは在庫僅少のようです。
しかし、今読んでも古く感じないから、「無責任の構造」を今も感じることがあるのだと思います。

職場で無責任体質に直面して何とかしなければと感じた人が
何を知っておき何ができるか、
逆に、良心に従い闘いたいと思っても、
闘わない方が良い場合もあるなど、現実的・実践的に説明する章と、
社会心理学での基本的な考え方を知っておくべきと解説する章、
なにより、リスク心理学を専門とする筆者が事故調査委員の一人として知り得た1999年のJCO臨界事故での無責任の構造をあぶり出しているのが第一章です。

■キーワードなど
 ・(自己の行動基準を外的権威に求めようとする)権威主義
 ・属人主義
 ・(社会的圧力の元で不本意ながらの)服従
 ・(孤立無援が背景の)同調
 ・(無責任構造での価値観を)内面化(してしまう)
 ・(他に理由が無いときに「前例が・・・と」理由に担ぎ出される)因習主義
 ・認知的不協和の理論
 ・集団・組織での人の行動傾向
   (一緒に作業してはかどるような)社会的促進
   (意識した/無意識での主に質的な)社会的手抜き
   (集団での決定はリスクの高い方に決定しがちな)リスキーシフト
 ・会議での正しい主張のために
   ①技術的検証・裏とりは会議前に済ませる→技術的にあり得ない決定を避けるため
   ②リスキーシフトを意識し会議の早い時点で決定権のある人に説明・説得
   ③自分の主張を印象づけるためにキャッチコピーをつけて話す。
 ・フレーミング効果(内容で無く、枠組み・文脈で選択の選考が変わる)
 ・認知的複雑性の高い人と低い人
   (低い人は複雑な現実を、権威や属人に頼って単純化して判断する可能性が高い)

■属事主義(筆者の造語)のすすめが、印象深い。
 属人主義の否定。
 属事主義は「是々非々でやる」ということ。物事の内容で判断する。
 それは誰々が起案しているからというような人を判断にしないであくまで物事の内容で判断する。
 人で判断してしまう属人主義は、複雑な物事を受け入れて考えて判断することを略し、より簡単な判断で済まそうとするもの。
 属人主義がだめな9つの理由が書かれている。どれもうなづける。
 9つのうち1つ挙げると、意見の「貸し借り」が起こる ということ。
 頭の中に「貸し借り帳」がある状態。
 この間、私の考えに賛成を表明してくれたAさんの意見に、今回は賛意を表す。
 これでは物事の内容を見ていない。


■「おわりに」に、筆者の気持ちを良く表していると感じた文章がありましたので、長くなりますが引用します。

 当然のことながら、大人の社会のことであるから、一つの選択肢が明瞭に良心的で、他方が明瞭に非良心的な選択肢だというような状況はほとんど出現しない。真摯な判断を目指す人は、自己の選択が「良心的」であるかどうか日々懊悩(オウノウ)し、懊悩しては懐疑し、葛藤するものだから、真摯であればあるほど、「自分が良心的だ」という自信からは遠ざかるはずである。
 「自分が良心的な人間だ」などと公言できる人は、「良心」の基準がよほど甘いか、現実の複雑さ厳しさに気づかないほど脳天気な人なのだ。この種の公言が、真に良心的たり得ぬ人物の第一条件であるのは、「嘘をついたことがない」という公言がその公言そのものを裏切っている無自覚と似ている。


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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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