リスク心理学入門
リスク心理学入門
-ヒューマン・エラーとリスク・イメージ- 岡本浩一著
サイエンス社

「無責任の構造」を読んで、この著者の他の本を読みたいと思ったことがきっかけです。
表紙扉に
航空機に乗ることを極度に恐れる人がいる。統計的に見る限り、航空機はかなり安全度の高い乗り物である。航空機を恐れる人は、航空機のその人のイメージに対して恐れているのである。
とあります。
6章有ります。
1.リスクの社会的受容
2.リスク・イメージの構成要素
3.認知のバイアス
4.プロスペクト理論:確率認知の理論
5.パニック幻想
6.リスクとマスコミ
さんじのぱぱが、著者の強い思いを感じたのは、5章の終わりにある マスコミの「パニック」盲信 です。
ある大新聞に次ような記事が掲載されたそうだ。
大規模地震の警戒宣言と避難命令が
平塚市内に設置のスピーカーから流れ、
一部地域で混乱を生じた。
地震で一番こわいのは、直接の被害でなく、
市民がパニックまたはヒステリー状態に
なることだといわれている。
著者は、上のようなマスコミ報道に対して厳しく反対している。
災害に対して事前に予報を流す災害予知はパニックやヒステリーを引き起こしかねないという間違った連想を、マスコミは報じている。
「災害予知=パニック」という誤った連想から逃れられないのは、マスコミ自信で、それは盲信である。
学問的にも実証的にも根拠のない盲信を「報道」し続けるのをやめてもらいたい。
パニックが起こる条件のうち主要なものの一つは、脱出可能性の競争性認知の存在だそうだ。
映画館で火事になっても係員の誘導に従い避難すれば助かるという認識があればパニックは起こりにくい。
しかし、そのような認識が持てず、早くしないと逃げ遅れるという認識になってしまうとパニックが起こりえるとのこと。
このことで、さんじのぱぱが思い出すのは、福島原発事故。
SPEEDIの放射線影響の予想情報を適切に流すより、(パニックを恐れてと勘ぐってしまうが)信頼性の低い情報と判断して適時に流さず、後になってからこういう情報がありましたと避難用途でなく公開した。
■読書メモ
「統制感の概念」の説明
リスクをよりよく管理できるためには、自力を信じる文化が必要だそうだ。
個人差レベルでいえば、統制感(locus of control)と呼ぶ概念とのこと。
ロッターという研究者が提唱した。
・統制感が外的な人
自分に起こる良いこと悪いことは、自分の努力の有無によるのではなく、運や他人のせいにする傾向がある。・統制感が内的な人
自分に起こる出来事は、自分の努力や能力に多く要因があると考える人。
⇒あまりに、外的統制感が強い人は、リスク管理に不向き。
「幻想的統制感」という概念を説明する例
宝くじを買おうとする人は、当たりがよく出るとされる販売店で買おうとする。
科学的には特定の販売店や番号を買うことで、当たる確率が上がりはしないのだが、確率が上がるという統制(control)が可能だと思っている→幻想。
認知バイアスの2つ
・リスクアバースな傾向(risk averse tendency) = 確実性の効果(centainty effect)
A:確実に800ドル得られる選択肢
B:0.85の確率で1000ドル得られる選択肢
確率的な期待値では、A:800×1.0=800 より、B:1000×0.85=850 の方が大きいが、我々の主観的なリスク認知では、0.15の得られないリスク(可能性)を警戒し、Aを選択する。
このように、期待値は低いがリスク嫌忌し確実な方を選ぶ傾向がある。
・ギャンブル的認知バイアス
A:確実に800ドル失う選択肢
B:0.85の確率で1000ドル失うが、全く失わない確率が0.15ある選択肢
確率的な期待値から合理的に判断すると、Aの方が有利だが、Bを選ぶ人が多い。
損失がなくて済む0.15の可能性を過大視するバイアスがはたらくため。
-ヒューマン・エラーとリスク・イメージ- 岡本浩一著
サイエンス社

「無責任の構造」を読んで、この著者の他の本を読みたいと思ったことがきっかけです。
表紙扉に
航空機に乗ることを極度に恐れる人がいる。統計的に見る限り、航空機はかなり安全度の高い乗り物である。航空機を恐れる人は、航空機のその人のイメージに対して恐れているのである。
とあります。
6章有ります。
1.リスクの社会的受容
2.リスク・イメージの構成要素
3.認知のバイアス
4.プロスペクト理論:確率認知の理論
5.パニック幻想
6.リスクとマスコミ
さんじのぱぱが、著者の強い思いを感じたのは、5章の終わりにある マスコミの「パニック」盲信 です。
ある大新聞に次ような記事が掲載されたそうだ。
大規模地震の警戒宣言と避難命令が
平塚市内に設置のスピーカーから流れ、
一部地域で混乱を生じた。
地震で一番こわいのは、直接の被害でなく、
市民がパニックまたはヒステリー状態に
なることだといわれている。
著者は、上のようなマスコミ報道に対して厳しく反対している。
災害に対して事前に予報を流す災害予知はパニックやヒステリーを引き起こしかねないという間違った連想を、マスコミは報じている。
「災害予知=パニック」という誤った連想から逃れられないのは、マスコミ自信で、それは盲信である。
学問的にも実証的にも根拠のない盲信を「報道」し続けるのをやめてもらいたい。
パニックが起こる条件のうち主要なものの一つは、脱出可能性の競争性認知の存在だそうだ。
映画館で火事になっても係員の誘導に従い避難すれば助かるという認識があればパニックは起こりにくい。
しかし、そのような認識が持てず、早くしないと逃げ遅れるという認識になってしまうとパニックが起こりえるとのこと。
このことで、さんじのぱぱが思い出すのは、福島原発事故。
SPEEDIの放射線影響の予想情報を適切に流すより、(パニックを恐れてと勘ぐってしまうが)信頼性の低い情報と判断して適時に流さず、後になってからこういう情報がありましたと避難用途でなく公開した。
■読書メモ
「統制感の概念」の説明
リスクをよりよく管理できるためには、自力を信じる文化が必要だそうだ。
個人差レベルでいえば、統制感(locus of control)と呼ぶ概念とのこと。
ロッターという研究者が提唱した。
・統制感が外的な人
自分に起こる良いこと悪いことは、自分の努力の有無によるのではなく、運や他人のせいにする傾向がある。・統制感が内的な人
自分に起こる出来事は、自分の努力や能力に多く要因があると考える人。
⇒あまりに、外的統制感が強い人は、リスク管理に不向き。
「幻想的統制感」という概念を説明する例
宝くじを買おうとする人は、当たりがよく出るとされる販売店で買おうとする。
科学的には特定の販売店や番号を買うことで、当たる確率が上がりはしないのだが、確率が上がるという統制(control)が可能だと思っている→幻想。
認知バイアスの2つ
・リスクアバースな傾向(risk averse tendency) = 確実性の効果(centainty effect)
A:確実に800ドル得られる選択肢
B:0.85の確率で1000ドル得られる選択肢
確率的な期待値では、A:800×1.0=800 より、B:1000×0.85=850 の方が大きいが、我々の主観的なリスク認知では、0.15の得られないリスク(可能性)を警戒し、Aを選択する。
このように、期待値は低いがリスク嫌忌し確実な方を選ぶ傾向がある。
・ギャンブル的認知バイアス
A:確実に800ドル失う選択肢
B:0.85の確率で1000ドル失うが、全く失わない確率が0.15ある選択肢
確率的な期待値から合理的に判断すると、Aの方が有利だが、Bを選ぶ人が多い。
損失がなくて済む0.15の可能性を過大視するバイアスがはたらくため。
スポンサーサイト